以下为收费内容(by http://www.prretyfoot.com)日輪と月輪がゆっくりと立ち上がります。 本文来自 http://huangsewenxue.com/ そして、あろうことか、着ていた服を脱いでしまいました。 「なっ………」 予想外の行動に、思わず驚きの声を発するのを抑えきれませんでした。 僕の眼前に、うら若き女の裸体が曝されます。 普段、陽に当たる事も少ないのか、肌は輝くように白く、滑らかで。 思いの他豊かな胸、括れた腰、無毛の恥部、ほっそりとしていながら瑞々しい弾力を想像させる太もも………。 女性としての魅力に溢れる肢体が、正直言ってとても目に眩しく感じられます。 「どうぞ、じっくりとご覧くださいませ」 己の美しい裸身に見蕩れている僕にそう声をかけ、二人は互いに向かい合い、ゆっくりと抱き合います。 二人の間で、豊満な4つの乳房がむにゅりと潰れ、艶めかしい太ももを絡め合い、さらに僕に見せつける様に唇を重ね、互いの舌を貪り、淫らな音を高らかに奏でながら、唾液を交換し合います。 「う、うっ………」 美女二人が絡み合うという光景は、淫らでありながら、幻想的でもあり、神秘的でもあり、視線を外す事も出来ないほど蠱惑的です。 これは、今までに経験した事のない出来事です。 何しろ僕は………恥ずかしながら、まだ女性を抱いた経験がないのです。 僕がまだ独身者だった事も、何が起こるかわからない異国への使節に選ばれた理由なのでしょう。 ここまでの旅の間も、歓待と監視の役目を負っていると思われる夜伽の女性を勧められることはままありました。 しかし、お役目の重さに胃が痛む思いをしていた僕は、未経験ゆえの気後れもあって、ずっと断ってきたのです。 部下に笑われる事もありましたが、笑った奴は調練で叩きのめしてやりました。 それ以来、からかわれることもなくここまでやってきたわけですが。 僕は目を血走らせ、はぁはぁ、と荒い呼吸をしながら、食い入るように二人の姿を見つめていました。 血流はどんどん下半身に流れ込んでいき、服に形が浮かび上がるほど、肉棒を熱く激しく滾らせます。 女性に対して、これほど強い欲望を抱いた事も、これまでになかったことです。 これも、未経験だからなのでしょうか。 或いは、これも彼女たちの鬼道の力なのでしょうか。 「あん?とても気持ちいいです?」 「悌儁様に見られていると思うと?あふんっ?いつも以上に……??」 二人は甘い喘ぎ声を漏らし、互いの胸を揉み、秘所を弄りながら、少しずつ、僕の前に近づいてきます。 二人の秘所からは手の動きに合わせてぐちゅぐちゅと卑猥な音が響き、その綺麗な手を愛液が伝い、ポタポタと床に滴り落ちていきます。 二人が近づくにつれて、どことなく甘い香りがすることに気づきました。 思わず、もっと吸い込みたくなるような、魅惑的な香り。 二人との距離がだんだんと狭まっていくと、最初は仄かに香る程度だった香りがどんどん濃密なものになっていきます。 僕は無意識に深呼吸を繰り返し、肺の中に二人の放つ香りを取り込んでいきました。 その香りは、雄を虜にする、雌の淫臭。 二人の、洪水のように濡れた秘所から漂いだした香りは空を伝い、鼻や口から僕の体の中に入り、肺から血の中に溶け込み、全身を駆け巡り、鼓動を高鳴らせ、さらに肉棒を滾らせていきます。 その先端からは早くも我慢汁が溢れ、服に黒い染みが広がっていきました。 「悌儁様?」 「一緒にいかがですか?うふ?」 舌を伸ばせば届くような距離で、二人が口を開きました。 ピンク色の口の中で、唾液の海を泳ぐ様に舌が蠢いています。 甘い吐息が鼻息を掠めていきます。 僕の口の中で、大量の唾液が生まれ、口の端から零れ落ちていきました。 「混ざりたければ、思いきり舌を伸ばしてみてください?」 「大丈夫。舌は動かせますよ?」 舌を空中でひらひらと動かしながら、二人が誘惑してきます。 しかし、この誘惑に応じる事は、魏の役人?武人としての本分を投げ出す事に他なりません。 そんな事は断じてできません。 ですが、ああ、二人の舌はとても柔らかそうで、その感触を味わいたいという欲望がふつふつと込み上げてきてしまいます。 役人や武人としての理性と、男としての本能が鬩ぎ合います。 正直に言って、とても分の悪い鬩ぎ合いです。 「何も案じる事はありません、悌儁様?」 「我々は謂わば、ヒミコ様から悌儁様への貢物なのですから?」 「み、貢物………」 「そうです。それに、今、この場には我々しかいません?」 「誰にも、見られません?誰にも、知られません?」 「ですからぁ?」 「一緒にぃ?」 「気持ちよ~く?」 「なりましょ?」 くねくねとしなを作りながら、蠱惑的な声音で誘惑してくる二人。 『ふ~っ??』 「んあ、はぁあっっ……??」 吹きかけられた甘い吐息が、顔を擽っていく事さえも心地よく、理性が蝕まれていきます。 それに、ここで彼女たちの誘惑に乗ったところで、報告をしっかりするのであれば何の問題もないはずです。 彼女たちが、卑弥呼からの貢物なのであれば、ありがたく受け取ればいいのです。 こんな辺境の野蛮国にまでわざわざ足を運んでいるのですから、多少の役得ぐらいあってもいいのではないでしょうか? ぐるぐると渦を巻く思考が、どんどん自分にとって都合のいい言葉を並べ立て、誘惑に屈することを正当化していきます。 そして。 「ね、早くぅ、悌儁様ぁ?」 「熱く、蕩ける様な口づけを致しましょう、悌儁様ぁ?」 淫らに微笑み、舌を絡ませ合う二人。 僕は、ごくり、と唾を飲み込んでから、ゆっくりと口を開き、おずおずと舌を伸ばしました。 「もう少しですよ、悌儁様?」 「もっと舌を伸ばしてください。ほら、もう少しで届きますよ?」 ひらひらと揺れる二人の舌。 舌を伸ばしても、届きそうで、届きません。 ほんの少し、小指の爪程の間を開けて、二人の舌がひらひらと空を泳いでいるのです。 もどかしくて、どうにかなってしまいそうです。 「もう少し??」 「あとちょっと??」 二人に促されるまま、舌の根が攣るのではないかと思う程、思いきり舌を伸ばします。 その舌に、左右から二人が吸い付いてきました。 じゅるるるるっっ……?? じゅるるるるっっ……?? 「んぅぅうっっ……??」 待ちに待った快楽が、全身を貫き、鬼道によって動けなくさせられている身体がびくびくと震えてしまいます。 伸ばした舌に、ちゅっ?ちゅっ?と小鳥が啄むような口づけが繰り返され、柔らかな唇の感触を感じさせられ、舌を伝って二人の甘い唾液が口の中に流れ込んできます。 その、想像以上に甘い唾液に、脳髄が痺れるような感覚が襲ってきます。 ただ口づけをしているだけ。 にも拘わらず、この世の物とも思えぬ快楽が脊髄を駆け下り、下半身で爆発しました。 未知の体験に頭の中が真っ白になり、服の中で肉棒が震えながら、先端からどくどくと大量の白濁液を吐き出してしまいます。 「あっ?あぁぁっ……??」 恍惚感と喪失感に、蕩け切った声が漏れだすのを止められません。 「あらら。口づけだけでイってしまわれたんですか、悌儁様?」 「それほど、気持ちよかったのですね?」 日輪と月輪が、広がっていく黒い染みを見ながら、よく似た顔を並べて笑っていました。 「あひっ?ぁあぁぁっ、し、舌がっっ……??」 ですが、僕はその笑顔に答えるどころではありませんでした。 舌が、まるで焼き印でも押し当てられているかのように熱く、全身の血が沸騰しているのではないかと思う程、体が熱くて熱くて溜まりません。 「燃える様に、気持ちいいでしょう?」 一旦その場を離れた日輪が、部屋の隅に置いてあった手鏡を持って戻ってきました。 鏡面を僕に向けると、僕の舌に、黒い紋様が浮かび上がっているのが見えます。 その紋様は赤く明滅しており、その度に体が疼いて仕方がありません。 「あがっ?あああっ……こっ、この紋様っ……??」 その紋様には見覚えがありました。 倭国の地にやってきてから、何度も見てきたものです。 大人も子供も、倭国の男性すべてがその顔や体に入れている入れ墨と同じ紋様でした。 「これは、ヒミコ様の聖なる紋様です。快楽を貪れば貪るほど、この紋様は大きく広がり、眩く輝き、より強い快楽を齎してくれるのです」 月輪が僕の衣を剥ぎ取り、肉棒を露にします。 それは、今まで見たことがないほど雄々しく勃起し、血管が浮き上がり、どくどくと拍動していました。 「まぁ、逞しい……?」 日輪がうっとりと目を細め、 「握って差し上げますね、悌儁様?」 「や、やめ―――っっ」 制止の声も効かず、醜く滾る肉棒に、月輪の細く美しい指が絡みつき、扱き上げられます。 「がっ、はぁっ……??」 気が遠くなるほどの快楽。 僕は白目を剥き、がくがくと震える事しかできません。 日輪が僕の上着を脱がせ、露になった胸元に赤い舌を這わせます。 「んおぉぉっ??」 ちろちろと舐められた箇所が、燃える様に熱くなり、視界にバチバチと火花が散ります。 「ちゅぷっ。はむ。れろれろ。悌儁様、どうして80年、何世代にも亘って続いてきた倭国大乱が終息したかわかりますか?」 上目遣いに見上げられながらの質問に、考えようとするものの、齎される快楽のあまりの強さに思考が纏まりません。 頭の中が、どんどん真っ白に染め上げられていきます。 「じゅぶっ。ちゅぱっ。じゅるるるっ。紋様を刻まれて?…じゅぱっ…あへ?あへ?って気持ちよくなって?…じゅるっ…頭の中どろどろになって?……ちゅぱっ……もう戦争の事なんか考えられないよぉっ??……じゅぶっ……戦争止めるからぁ??……ちゅるっ……ヒミコ様に従いますからぁぁっ??……じゅっぶじゅっぶ……全てを捧げますからぁぁっ??……ぷちゅっ、くちゅっ……だから、もっともっと気持ちよくしてくださいぃぃっ??ってなっちゃったから、です?」 肉棒をしゃぶり、睾丸を掌で転がしながら、月輪が笑う。 「最初は王たちが?」 「あぁぁっ……???」 「次に大夫たち?」 「いひぃぃっ……???」 「役人も?」 「お、おふぉぉっ……???」 「兵隊も?」 「あ、あぁぁっ、ふぁぁっ???」 「農民も?」 「あひゃぁっ、んぁぁっ???」 「漁民も?」 「う、うひぃっ……???」 「山の民も?」 「も、もっ、もうっ???」 「海の民も?」 「む、無理ぃぃぃぃっ……??」 「大人も?」 「あぁぁっ??んあぁぁっ??」 「子供たちも?」 「ひあぁっ??ふ、ふぉぉっ??」 「そして、魏からの使節様も?」 日輪に耳をしゃぶられ、じゅぶじゅぶと厭らしい音が脳内に響きます。 月輪が、喉の最奥まで深々と肉棒を飲み込んでいきます。 乳首を捻られ。 睾丸を揉まれ。 瞬く間に、体の奥底から射精感がこみ上げてきます。 確信がありました。 これまでの人生で味わったことのない、最高の快楽になると。 今、自分が破滅の淵に立たされているのだと。 この快楽を味わってしまったら、自分は破滅の淵から真っ逆さまに堕ちていってしまうのだろう、と。 しかし、わかっていても、この快楽を止める手段はありませんでした。 いえ、手段があったとしても、止める事はできなかったでしょう。 「出るっ、出りゅぅぅぅっっ………???」 涙も、鼻水も涎も。 穴と言う穴から体液を垂れ流しながら、僕は絶頂へと突き上げられ、破滅の淵へと突き落とされました。 どびゅぅっ?どびゅるるるるっ??びゅくびゅくんっびゅくびゅくんっ??どっぴゅんっ?びゅるるるるっ?? 月輪の口内に、思いきり白濁液を吐き出します。 まるで、体すべてがバラバラになるような悦楽。 「あひっ?あへっ?」 白目を剥き、がくがくと痙攣しながら、精嚢の中に残る白濁液、その最後の一滴まで、月輪の喉奥に注ぎ込みました。 小さな口に収まりきらずに噴き出した白濁液が、月輪も、日輪も、僕自身も白く汚していきます。 「あひっ?あふっ……??」 放心状態の僕に、両側から日輪と月輪が抱き着いてきます。 「不弥国から投馬国までは船で20日余り」 「投馬国から邪馬台国までは、歩きですと1か月掛かりますが、船で行くなら10日余りの旅路です」 「その間、たっぷりと“お願い”させていただきます?」 「悌儁様が、“承諾”していただけるまで?」 柔らかな肢体の感触を味わいながら耳元で交互に囁かれる、その声だけでも、とても心地よくて。 (僕は………邪馬台国まで、正気を保っていられるのだろうか………) 僕は軟体動物のような柔らかな肢体に全身を絡め取られ、壮絶な快楽の余韻にぐったりとしながら、ぼんやりとそんな事を思い浮かべていました。 二人からこの上さらにどのような“お願い”をされるのかに思いを馳せるだけで、性懲りもなくまた肉棒は滾ってしまいます。 そんな僕の胸と、肉棒を彩るかのように黒い紋様が浮き上がり、どくどくと脈打っていました。 翌日から、船内の僕の部屋には日輪と月輪が入り浸るようになりました。 最初は、僕の部下たちも日に何度かは部屋に様子を見に来ていました。 その度に、僕は「大丈夫だ」「気にしなくていい」と答え続けました。 五日目か、六日目ぐらいでしょうか。 大きな港に風待ちで入港したとかで、慰労のために卑弥呼が派遣してきたという楽団が乗船してきた日がありました。 美女ばかりで構成された楽団で、演奏技術自体は稚拙でしたが、部下たちは大喜びでした。 演奏が終わるとともに、僕は日輪や月輪とともに早めに部屋に戻りました。 体が疼いて仕方がなかったからです。 その日を境に、僕の部下たちは全く部屋に寄り付かなくなりました。 時折、薄い壁を通じて船のどこかから悲鳴のような、嬌声のような、そんな声が聞こえてくるぐらいです。 僕たちは三隻の船に分乗していましたが、他の船の状況は全く分かりませんでした。 ただ、日輪と月輪の話によると、他の船にも慰労の楽団は乗り込んでいるそうです。 せめて、邪馬台国への距離だけでも測りたかったのですが、四六時中、どちらかに張り付かれて、それもできませんでした。 できる事と言えば、日数を数える事ぐらい。 しかし、風待ちなどのために湾内で待機する時間もあるので、日数だけで距離を特定することはできそうにありません。 また、日を重ねる毎に、時間の感覚すらも曖昧なものになっていきました。 今が昼なのか、それとも夜なのか。 それすらも、なんだかもう、よくわかりません。 少し前の僕であれば、そんな怠惰を許しはしなかったでしょう。 しかし、今の僕はもう、正直、どうでもよくなっていたのです。 *** 大きく開脚させられた両足に、それぞれ裸の日輪と月輪が跨り、その柔らかな肢体の感触を刻み付けられながら、日輪に耳を、月輪に乳首をしゃぶられ、二人の息の合った動きで肉棒を扱き上げられ、ゾクゾクと射精感が込み上げてきます。 「で、出るぅっ??」 僕は一切我慢しようともせず、涎も垂れ流し状態のまま、喘ぎ声をあげて腰を持ち上げ、びゅるびゅると白濁液を噴射します。 もう、今日何度目の射精なのかも判然としません。 そもそも、今日が航海何日目なのかも思い出せませんでした。 ですが、どれほど疲労しても、二人が差し出す、甘く、清涼な味わいがする美味しい水を飲むと体の底から力が漲ってきて、肉棒が、まるで一週間以上射精していなかったのかと思う程、勃起してしまいます。 「飲ませて?」 「アイ。悌儁様ったら、すっかり甘えん坊さんになられて。可愛いです?」 自分で飲む事すら億劫な時は、おねだりします。 そうやって甘えると、日輪が慈愛の籠った優しい表情を浮かべ、僕の頭を撫でてくれます。 それがもう、幸せでたまりません。 日輪は水を口中に含むと、口移しで飲ませてくれます。 日輪の唾液と混じる事で、水はより甘く、美味しくなっているようにすら感じるのです。 舌を絡ませながら、こくこくと水を飲み込んでいきます。 水の効果ですぐに硬さを取り戻した肉棒が、ずぶずぶと月輪の口中に飲み込まれていきます。 「あぁっ、気持ちいいっっ……??」 温かく、ぬるぬるとした唾液に満たされた月輪の口内は、何度体験しても毎度、驚くばかりの快感を齎してくれます。 僕は日輪の華奢な腰を抱いて、その豊かな胸の谷間に顔を埋めます。 僅かに汗ばんだ肌は甘酸っぱく、いくら舐めてもしゃぶっても飽きるという事がありません。 また、その香りを肺一杯に吸い込むだけで、幸福感が限界突破していきます。 さらに、日輪が赤く勃起した乳首をカリカリと爪先で弄り回すと、頭の中で幾重にも閃光が瞬きます。 日輪と月輪の責めは非常に連携が取れていて、爪を摘ままれると同時に亀頭部分を激しく吸い上げられて、瞬く間に精嚢から込み上げてきた白濁液を、喉奥に注ぎ込んでしまいます。 「気持ちいいですか、悌儁様?」 日輪が、自身の谷間に顔を埋め、呆けた顔をしている僕の瞳を覗き込んできます。 その瞳に映り込んでいる僕の顔に、武人の面影はすでにありません。 元々、武人には似つかわしくないと同僚からも揶揄される程の優男でしたが、今は魂もすべて搾り取られ、すっかりふやけきった顔をしています。 その口元に浮かんでいるのは、武人らしい厳格さとは最も縁遠い、にへらっとした笑みです。 「気持ちいい?………気持ちいいよぅ??……日輪??」 「それはようございました」 「えー、悌儁様、気持ちいいのは日輪だけですかぁ?」 激しい射精の直後であるにも拘らず、全く硬さを失わない肉棒に頬ずりしながら、月輪が唇を尖らせます。 そんな月輪も、愛しくてたまりません。 僕は手を伸ばして、その綺麗な髪を優しく撫でます。 「勿論、月輪も気持ちいい??……二人とも、最高です……??」 「ふふ。嬉しいです?」 「えへへ?」 二人が嬉しそうな顔をします。 それだけで、もしかしたら僕はこの世で一番幸せな男なのではないか、そんな気にさせられます。 「明日には投馬国に着きます。それから、邪馬台国に向けて出発しますね?」 「そうなんだ………」 日輪の言葉を上の空で聞きながら、僕は腰をもぞもぞと動かします。 「いかがなされました、悌儁様」 お見通しであろうに、僕自身に言わせようと日輪が微笑みながら、乳首をくるくると弄びます。 「日輪、月輪………入れたい……??」 今の僕にとっては、邪馬台国への行程が順調に進んでいる事よりも、快楽を貪る事の方が重要だったのです。 いや、むしろ、旅の終着点が近づいていることを感じれば感じるほど、少しでも長く、この快楽を味わっていたかったのです。 「わかりました?」 「まずは私。私の膣に、たぁっぷり注いでくださいね、悌儁様?」 僕の望みを笑って受け入れてくれ、肉棒が月輪の膣に飲み込まれていきます。 月輪が激しく腰を動かす事で、その中に収められた肉棒は無数の襞に絡みつかれ、子宮口にしゃぶられ、全身が蕩けそうなほどの悦楽に満たされながら、あっという間に絶頂に達します。 どびゅぅっ?どびゅるるるるっ??びゅくびゅくんっびゅくびゅくんっ??どっぴゅんっ?びゅるるるるっ?? 吐き出した大量の白濁液が子宮を満たし、逆流して結合部から噴射します。 月輪の中から引き抜かれ、湯気を立てる肉棒は、休む間を与えられることもなく、日輪の中に飲み込まれていきました。 日輪が石臼を挽くように腰を動かし、月輪のそれとは異なる締め付けによって齎される、脳が焼き切れそうなほどの快楽によって、1分も経たないうちに僕は絶頂に押し上げられました。 どびゅぅっ?どびゅるるるるっ??びゅくびゅくんっびゅくびゅくんっ??どっぴゅんっ?びゅるるるるっ?? 全身を覆う快楽に溺れながら、僕の身も心も満たされていました。 *** 快楽漬けの旅の末、僕は漸く、卑弥呼のいる邪馬台国に到着しました。 日輪と月輪の言葉通りなら、帯方郡からの距離は一万二千余里という事になります。 その距離以上に、遠く感じられる旅路でした。 船を降り、魏から邪馬台国への下賜品の確認をし、部下と人夫たちの点呼を行います。 整列した一人一人、その全員の顔に、あの紋様が刻まれていました。 首筋、胸元、腕や足など、露出している部分も、地肌が見えないほどびっしりと紋様に覆われています。 倭国の人間でも、ここまで紋様に覆われた人は見たことがありません。 辛うじて立っているものの、その体はふらふらと揺れ、目は虚ろでした。 長い船旅だったから地面が揺れているように感じている、と言う事もあるのかもしれません。 ですが、勿論、それだけではありません。 僕自身も、びっしりと全身に紋様が刻まれ、彼らと同じように虚ろな眼差しをしていた事でしょう。 下賜品の確認作業すらも酷く億劫で、途中で何度も数え間違いをしてしまいました。 久々に見上げる太陽は、これまでに見上げてきた太陽と果たして同じものなのかと訝しく思う程、眩く、感じます。 それから、宿舎に移動します。 倭国の人々は沿道に列を作り、隊列を作って進む僕たちに向かって歓声を上げ、手を振ってくれました。 邪馬台国は勿論、魏程ではないにせよ、確かに大きな国でした。 家の数は実に七万余戸に及ぶと言います。 邪馬台国だけで、です。 卑弥呼が収める領域すべてを合わせれば、実に十五万戸にも及ぶそうです。 だとすると、人口は百二十万程には達する事でしょう。 あの公孫淵が、魏からの自立を宣言して燕王を称した時、燕の戸数は四万戸、人口は三十万人程でした。 少なくとも、邪馬台国は燕の四倍の人口を擁していることになります。 三国の一つである蜀と比べても、邪馬台国の方が人口は多いかもしれません。 人口が多いという事は、それだけ多くの兵力を有しているという意味でもあります。 僕が思っていた以上に、邪馬台国は強大な国と言う事なのかもしれません。 邪馬台国を中心とする連合国の領域は、ここに辿り着く為に僕たちが通過してきた地だけで全てと言う訳でもなく、北にはシバ国、シハクシ国、イヤ国、トシ国、ミド国、カウコト国、フウコ国、シャド国、タイソ国、ソド国、コイフ国、カドソド国、キ国、ヰゴ国、キド国、ヤバ国、キュウシン国、ハリ国、シユイ国、ヲド国、ド国などがあるそうです。 南には、連合国に加わらず、これと対立する男王が収める狗奴国があります。 中華風には「狗奴国」と書きますが、日輪の話を聞くと「熊野国」と書く方が正しいかもしれません。 イワレビコと言う人物が建てた国、とも日輪は話してくれました。 僕が疑問に思ったのは、卑弥呼の鬼道、あの紋様を使えば、熊野国も簡単に屈服させられるのではないか、と言う事です。 しかし、日輪と月輪の話によると、イワレビコの末裔たちに、卑弥呼の鬼道は通じないそうです。 理由はよくわかりませんが、アマテラスという女神の末裔であることが関係しているのかもしれない、と言っていました。 神と言われても俄かには信じがたいという思いもしますが、紋様が疼く度、どうしようもなく二人の柔らかな身体を求めてしまう自分を思い返すと、あながち否定することもできません。 宿舎に入った僕たちは旅の疲れを癒し、謁見の時を待つことになりました。 そんな僕たちの無聊を慰めるために、卑弥呼は再び美女揃いの楽団を派遣してくれました。 彼女たちは謁見までの数日間宿舎に泊まりきりで、僕たちは大いに英気を養う事ができました。 数日後、謁見を許された僕は、数人の部下を連れて、一際大きな建物へと案内されました。 謁見の間に通されたのは、僕だけでした。 そこにいたのは、10人ほどの男たち。 僕の正面、上座に座っているのは、なんと伊都国の王です。 彼が、周りにいる男たちを順次紹介してくれましたが、彼らは邪馬台国を中心とする連合国を構成する有力国家の王たちだとの事。 その顔や体にも、紋様がありました。 しかし、伊都国の王、彼だけには紋様がありませんでした。 王たちの伊都国の王に対する態度も、同輩というよりは目上の相手に対するそれです。 もしかしたら、卑弥呼が国を統治するのを支えているという弟―――魏において、邪馬台国の真の支配者なのではないかと考えられている人物こそ、ニコニコと害のなさそうな笑みを浮かべて微笑んでいるこの男なのではないでしょうか。 何故、彼だけに紋様がないのか。 イワレビコの子孫に関する話からしても、紋様の付与にも何らかの制約があるのかもしれません。 卑弥呼も、万能という訳ではなさそうです。 会見は滞りなく進み、詔書と印綬及び下賜品の受け渡しと洛陽への再度の使節派遣要請は恙なく終了し、僕は与えられた役目の内、二つを無事に果たすことができました。 伊都国の王は、卑弥呼の言葉だとして感謝の弁を述べ、近年中に再度使節を派遣することを約束しました。 これで会見も終了か、と思った時、しゃらん、と鈴の音がしました。 その音を聞いた瞬間、居並ぶ王たちが、表情を一変させ、総身に緊張を漲らせながら深く頭を垂れました。 僕自身も、言い知れぬ緊張に襲われ、硬直してしまいました。 息をする事さえも、忘れていたかもしれません。 空気が変わったのが肌感覚で分かりました。 凛、とした空気を纏って、会見の場に白装束姿の女性が、十人程の侍女を引き連れて入室してきました。 その中には、神妙な顔つきをした日輪と月輪もいます。 伊都国の王の顔からも、いつも浮かべている笑みが消え、その瞳に驚きと畏怖の色を浮かべていました。 近づいてくる女性を見上げ、慌てて上座を譲ります。 「遠路はるばる、ようこそおいでくださいました」 伊都国の王が座していた椅子に優雅に腰を下ろし、言葉を発する女性。 天上の女神をも思わせる、清澄な声でした。 「はっ………」 答える僕の声は緊張にかすれ、床の柾目から視線を動かすこともできませんでした。 ぶわっと全身に汗が浮かび、顎先から滴り落ちて床を濡らしていきます。 「…直答を許します。面をお上げください」 「は………」 許しを得ても、容易に顔をあげる事ができませんでした。 まるで、肩を数人がかりで押さえつけられているかのような重圧を感じます。 (所詮は蛮族の女………気圧されるな………!) 内心で必死に言い聞かせ、やっとの思いで顔をあげ、女の姿を視界に収めました。 (っ………なんて、美しい………) それが、偽らざる第一印象でした。 誰も教えてくれませんが、この女性こそが卑弥呼なのは間違いないでしょう。 魏では卑弥呼は高齢だと言われていました。 確かに、若くはありません。 しかし、老婆と言うにはあまりに瑞々しく、儚さと威厳を兼ね備える美貌の持ち主でした。 思わず、ひれ伏してしまいたくなるような。 全てを、捧げてしまいたくなるような。 そんな危うい美貌です。 もし、自分が一国の王であれば、なんとしてでも己がモノにと望んだかもしれません。 結果、その色香に溺れ、国を傾ける事になったとしても。 まるで、殷の紂王を惑わし、国を亡ぼす原因ともなった妲己のような魅力に満ちた女性です。 その姿を見た瞬間に、心を奪われてしまったと言って過言ではありません。 卑弥呼は―――いえ、この美しい女性に対して、卑しい言葉で呼ぶことは相応しくありません。 ヒミコ様は、僅かに口元を綻ばせると、 「皆様方はご退室を」 王たちに視線を投げて、そう告げられました。 「しかし―――」 「何か」 思わず伊都国の王が食い下がろうとしますが、ヒミコ様が視線を向けると、顔面蒼白になって平伏しました。 「し、承知、致しました………」 わなわなと震え、顔にびっしりと汗を浮かべ、唇が紫色に見えるほど顔面蒼白になりながら、伊都国と他の国の王たちが退室していきます。 その様子からは、ヒミコ様が伊都国の王の傀儡であるようには見えません。 いえ、この女性が誰かの傀儡であるなどと言う考えそのものを、改める必要がありそうです。 この方は、誰かの下風に立つような方ではありません。 謁見の間に、僕と、ヒミコ様と、日輪や月輪と言った十人ほどの侍女だけが残されました。 「悌儁」 「はっ………」 本来であるならば、魏の臣下である僕が、蛮族の女王如きに呼び捨てにされる謂れなどありません。 しかし、僕の中に怒りはなく、むしろヒミコ様に己の名を呼んでもらった喜びが沸々と湧いてきました。 恋。 もはや、その感情はそう言う他ないのではないでしょうか。 ヒミコ様の姿を見るだけで、胸が締め付けられるようです。 「どうぞ、よしなに」 微かに口元を綻ばせ、ヒミコ様がそう仰いました。 それは、邪馬台国の位置について嘘の報告をして欲しいという、日輪や月輪に散々“お願い”された件を指しての言葉なのでしょう。 断るならば今しかない、そう思いました。 二人によって散々快楽漬けにされてしまった身ではありますが、皇帝陛下への忠誠心まで失ったわけではありません。 例え、心を奪われようとも。 魏の武人、役人としての務めを放棄するわけにはいかないのです。 毅然と、断らねばなりません。 「僕は―――」 そう思って口を開いた瞬間。 ヒミコ様の目が深紅に輝きました。 瞬間、僕の体中に刻まれた紋様が一斉に黒く輝き、 「あっ?がっ、ぎぃやぁあああああああああああああああああっっっっ!!!!!」 全身を強すぎる衝撃が貫きました。 「ひぎぃあぁぁぁぁあぁぁぁぁっっ―――!!!!」 しかし、それは痛みではありません。 余りにも激し過ぎるほどの快楽。 強すぎるほどの悦楽。 鋭すぎるほどの法悦。 全身を貫く気持ちよさに、僕は座っていることもできず、絶叫しながら仰け反り、倒れ、無様にのたうちまわりました。 肉棒が瞬く間に勃起し、まるで破裂したかのように大量の白濁液をぶちまけます。 「あっ、ああぁぁっ、な、なんでっ、た、だずげっ、あぁあああっ、ご、ごわれるっっ………!!!!」 絶頂は一度では終わらず、二度、三度と襲い掛かってきました。 紋様は、まるでそれ自体が生きているかのように僕の肌を這いまわり、互いに集合し、蠢きながら黒い手のような形状に変化していきました。 その黒い手が服を引き裂き、乳首を摘まみ、肉棒を扱き上げ、睾丸を揉みこみ、さらには肛門の中にまで侵入してきて腸壁を抉ります。 絶頂が連続して襲い掛かってくる度、大量の白濁液が放物線を描いて飛び散り、謁見の間の天井も、壁も、床までも、白く汚していきます。 ほんの十数秒で、軽く10回以上の絶頂。 「―――――っっっ!!!」 白目を剥き、舌を突き出し、涙も鼻水も涎も、大便さえも撒き散らしながら、音にならない叫びをあげながら転げまわる僕。 その口中にまで、棒状に変化した黒い紋様が入り込み、肺や胃の中までも犯されていきました。 「がががががががっっっっ!!!!!」 さらに、細い触手上に変化した黒い紋様が、耳の穴を貫いて脳にまで達し、さらに鼻の穴や瞳、勃起した乳首の中や尿道にまで侵入してきました。 僕の体は黒い紋様によって空に持ち上げられ、全身のありとあらゆる場所を蹂躙され尽くされました。 絶頂を遥かに超えた極致。 人間に耐えられる限界を、超越した悦楽。 「―――――っっっ!!!!」 度が過ぎる快楽は、もはや苦痛と同義です。 全身の骨が砕け、血が沸騰し、肉が溶けてしまうのではないかと思う程の快楽によって、僕のすべてが、細胞のほんの一片に至るまで、ぐちゃぐちゃに打ちのめされてしまいました。 ヒミコ様の瞳の輝きが消えると同時に、黒い紋様も動きを止め、僕の体はどさっと床に落とされました。 はぁ、はぁ、と荒い息を吐く僕。 もはや、指先一本さえ動かす事ができませんでした。 余韻だけでも体が震え、呼吸をする度に肺が絶頂に戦慄き、肉棒から、びゅくっびゅくっと白濁液が、さながら間欠泉のように断続的に噴き出していきます。 衣擦れの音が近づいてきて、ヒミコ様の美しい顔に見下ろされます。 「どうぞ、よしなに」 同じ言葉でした。 ここで逆らえば、今度こそ間違いなく、殺されてしまう。 膨れ上がった恐怖心に心を縛られ、役人としての誇りも、武人としての矜持も粉微塵に粉砕された僕に、これ以上抵抗する気力など残されているはずもありません。 「承り………ました」 「礼を申します」 ヒミコ様はまるで少女のように無邪気な笑顔を見せました。 汗一つ掻くことなく、一人の男に死の恐怖を味合わせ、絶望の淵に叩き込んでおきながら。 恐らくは、誰もが、可憐と感じてしまうであろう笑みを。 「お礼に、日輪と月輪の二人を生口として、差し上げます。煮るなり焼くなり、ご随意に」 その言葉を耳にしたのを最後に、僕は気を失いました。 *** 「よくぞ無事に戻ったな、悌儁。嬉しく思うぞ」 「はっ」 弓遵様は言葉とは裏腹に大して嬉しそうでもない声でそう言ってから、探るような眼を向けてきました。 「少し………雰囲気が変わったか?」 「そうでしょうか」 「うむ。その入れ墨は………」 「倭の民が皆その身に刻んでいるものです。内情を掴むためには、まずは倭人の心を開くことが肝要と存じ、私をはじめ、同行した者は皆、その身に刻んでおります」 「そうであったか」 弓遵様は少しだけ気持ち悪そうに僕の顔や首筋、手の甲に刻まれた紋様に視線を彷徨わせています。 そこだけでなく、全身にくまなく紋様が刻まれていると知ったら、どう思われるのでしょうか。 弓遵様はそれ以上、入れ墨に触れることなく、こほんと咳払いをした後、本題に入られました。 「それで。いかがであった?」 「詳細は報告書を纏めておりますが、口頭にて要旨を申し述べさせていただきます」 「うむ」 僕はそう前置きしてから、見てきたことを報告しました。 帰りの道中、日輪と月輪に耳をしゃぶられ、乳首を弄られ、肉棒を扱き上げられながら練習した通りに。 報告書も、二人によって一字一句添削された上で、提出しています。 その報告を、洛陽の司馬懿様や曹爽様と言った方たちがどう判断したのかはわかりません。 ただ、243年、邪馬台国は約束通り、大夫伊聲耆、掖邪狗等8人からなる使節団を送ってきました。 彼らが帯方郡に立ち寄った際に、弓遵様に命じられて、会談の場に僕も同席しました。 使節団を率いる大夫伊聲耆も、掖邪狗も、他の8人も見覚えがありました。 あの日、あの謁見の場にいた王たちだったのです。 相変わらずニコニコと笑みを浮かべつつ、実際の感情を一切垣間見せない伊都国王にして、邪馬台国連合の大夫でもある伊聲耆たちと、しばしの間、旧交を温めました。 洛陽に向かった彼らは新たに即位した少帝に謁見し、生口や倭の錦、赤、青の目の細かい絹、綿の着物、白い布、丹、木の握りの付いた短い弓、矢を献上しました。 少帝は掖邪狗を「率善中郎将」に任じ、印綬を授けられ、ここに魏と邪馬台国の同盟が成立しました。 244年には高句麗の首都が陥落。 245年には、難升米に魏の軍旗である黄幢が授けられます。 そして、247年、邪馬台国は狗奴国との間で戦争状態に突入しました。 洛陽に戻るという夢を果たせぬまま、反乱を起こした韓族との戦いで戦死された弓遵様に代わって太守に着任された王頎様は、邪馬台国からの報せに対し、援軍を送るべきかどうか洛陽に問い合わせました。 しかし、司馬懿派と曹爽派との間の権力闘争に揺れる洛陽が、野蛮国の戦争に関心を寄せるはずもなく、塞曹掾史の張政を派遣し、詔書?黄幢を齎して難升米に授け、激励する事でお茶を濁しました。 その戦いの最中にヒミコ様が亡くなられたという報せを受けました。 僕も、妻とした日輪、月輪の二人も嘆き、悲しみましたが、何もして差し上げる事ができませんでした。 ヒミコ様のために直径百余歩に及ぶ墓が建てられ、男女の奴隷、百余人が徇葬者として殺害されたと聞きました。 邪馬台国は男王が後継者になりましたが、不満が高まり、互いに殺し合いになり、千余人が殺されたそうです。 そのため、ヒミコ様の宗女であった、十三歳のイヨ様を立てて王としたところ、国中が遂に安定したそうです。 張政はその様子を確認してから、帰国しました。 その後、邪馬台国と狗奴国の戦争がどうなったのかは、わかりません。 251年、司馬懿様が亡くなりました。 僕にとっては幼い頃から、いずれはその指揮下で共に戦いたいと願った憧れの方でした。 263年には、三国志の英雄?劉備が建国した蜀が滅亡します。 265年には司馬懿様の孫である司馬炎によって、曹操様が建国された魏が滅び、晋が建国されました。 280年には、孫堅?孫策?孫権によって築かれた呉が滅び、三国時代が終焉を迎えます。 晋の時代になってから、蜀出身の官僚?陳寿によって編纂された正史『三国志』。 その中に収められた、『魏志倭人伝』に、僕が提出した報告書が活かされているそうです。 そこに書かれた行程通りに進んでも、決して邪馬台国に辿り着くことはありません。 恐らく、その通りに進んでも、海しかないはずです。 未来の学者たちには申し訳ない事をしてしまいました。 前半の行程が正確であるのに比べ、不弥国以降の行程が急に方角と日数だけになってしまった理由がわからず、混乱させてしまう事でしょう。 まさか、僕が淫欲に溺れていたからだなどと、まともな学者ならば思いつくはずもありません。 老いた身で、そうちらりと考える僕の命も残りわずかです。 「日輪、月輪」 あれから約50年。 思えば、長く連れ添ったものです。 結局、僕も洛陽に戻る事は出来ず、帯方郡の一役人として生涯を終えようとしています。 しかし、こんな自分のために涙を流してくれる二人の妻の手を握りながら、これまでの生涯を思い出すと、ふと笑みが零れました。 「今まで、ありがとう………」 悪くない人生だった、と思います。 ―――ヒミコ様。私も、そちらへ参ります………。 僕が死んで十数年。 晋は、「八王の乱」と呼ばれる司馬一族同士の内乱によって国力が衰え、匈奴の大首長?劉淵によって滅ぼされました。 同じ年、長年僕が奉職した帯方郡もまた、高句麗によって蹂躙され、歴史の表舞台から姿を消していきました。 千数百年後、倭の俳人が残したという俳句が、僕の心情にしっくりときます。 ―――夏草や 兵どもが 夢の跡。